OZAWA STUDIO

Equalizer

Equalizer

サックスレッスンでDAWを触っている時に興味を持たれるのが、EQ(イコライザー)です。楽器の音色を調整する時に使用するプラグインで、様々タイプのEQが発売されています。オーディオ製品やテレビ、ラジオ、スマホなど、身近なところに簡易的なEQが付属しています。

EQもサックスと同じように各社モデルごとに音色や操作性に特徴があります。アナログ機材をシュミレートしたEQの中には、サックスをレコーディングしたトラックにEQをインサートするだけで機材のキャラクターが付加されるものもあります。音色を比較したい方はレッスン時にお知らせ下さい。

サックストラックのEQ

録音環境や楽曲のアレンジにもよりますが、サックスの生音に極端な癖がなくて自然な音であれば、EQで積極的にキャラクターを変化させる必要はありません。プライマリーEQは、音楽に不要なノイズなどを処理の為に調整します。キャラクター付加の無いクリーンなデジタル系のEQが最適です。一般的にサックスならば低域部分をカットしてから次の調整に入ります。写真や動画のカラー編集する前に、撮影時の露出や彩度を戻すのと同じような作業です。

アルトサックスの最低音Bb(実音Db)は138Hzですので、それ以下の音域が録音に含まれている場合には楽器そのものの響きではなく、共鳴した部屋鳴りなどの不要なノイズです。80〜100HzぐらいにLFフィルターをセットして左右に周波数を移動させながら音色に影響のないところを探して不要な音をカットします。これを最初に処理しないと、その後の音作りでノイズが強調されてしまいます。(部屋鳴りを混ぜたい場合にはカットしすぎないようにします)

他の楽器と混ぜた時の感じで音作りは変わるので、サックストラックのEQだけで音を作ることはありません。コンプレッサーやリバーブなどを組み合わせると倍音が変わってきます。アルトサックスは、耳障りな音域に倍音が集まります。EQでHighを強調しなくても他のプラグインをインサートするだけで十分すぎる歪みが得られたりします。

SONNOX OXFORD EQ

好んで使っているEQは、Sonnox Oxford EQです。とりあえず何も考えずにDAWにインサートしてます。音色が良いのはもちろんのこと、マウスで操作した時の音色の変化が直感的で欲しい音にたどり着くのが早いです。

余計なものが付いていないシンプルなUIが最高。音が視覚化できるアナライザーは付いていないので、自分の耳や直感を信じて音作りに集中できます。

UAD Cambridge EQ

UADのCambridge EQとOxford EQは同じような5バンドのEQです。微妙に音色が違いますが、どちらもDAWに付属のEQと比べると明らかに高音質です。僅かにツマミを操作するだけでも音質の変化が明確に出ます。

音色にキャラクターを付加するような使い方ではなくて、音色を整えるEQとして使っています。歪みを強調させる時には、他のアナログ系のEQを使います。

FabFilter Pro Q3

FabFilter Pro Q3は高機能すぎて使いこなせてませんが、制作意欲が上がるUIです。アナライザー付きで音を視覚化して確認することができます。サックスレッスンで音色確認時に使用しているのは、Pro Q3の画面です。

本来の使い方ではありませんが、採譜(耳コピー)業務の時にもFabFilterを使います。一般的なEQでは作れないような独自のカーブが作れますので、サックスの音だけを聞き取りやすくしたり、アナライザーを使ってジャズドラムのフェザリングなどの聞こえにくい音を視覚的に判断する時に役立ちます。

処理方式がZero Latencyを選ぶと音質の変化が気になる場合には、Natural PhaseやLinear Phaseを選ぶようにしています。

Sonnox Claro

ClaroのAuto Gain機能が便利です。EQで選択した音域の音量を上げ下げすると、EQ前と後で音量が変化します。音が大きくなると良い音に聞こえてしまう傾向があるので、EQ処理の効果を確認するには同じ音量で比較します。Auto Gainは、この作業を自動でやってくれる機能です。

写真は、Alto SaxのF#音(実音A220Hz)の波形です。サックスの音には、基音と同じぐらいの音量で倍音が鳴っていることが確認できます。リードやリガチャーを交換した時に大きく変化するのが1k〜8k付近です。

サックスの倍音をアナライザーで分析

サックスレッスンで録音した演奏をアナライザーで視覚化すると、倍音のことがイメージしやすくなると思います。音色作りの基本は、客観的に自分の演奏を聞いてみることです。リファレンスにしているアーティストの音色と比較をすることでサックスの音色への興味が深まります。

人気の高級リガチャーに重たい楽器、金メッキのネックに金属マウスピースで誰にも負けない大きくて派手な音。一体何と競争しているのでしょうかね?吹いている本人は気持ちが良いのですが、歪みが強調されすぎたブライトなサウンドは、聞いている人には細くて耳障りに聞こえているかもしれません。音色に自信がある方だとしても、信頼できる方に客観的に音色を判断してもらうことは大切です。

お気に入りのビンテージサックスを入手してサブトーン。柔らかい音を出しているつもりが、鳴らないリードを無理して吹いているよう聞こえているかもしれません。

明るい音にも暗い音にもそれぞれ良い音があります。時には偏った音作りを試してみるのもありです。そうすることで、極端な音作りに気づいて、フラットで癖のない自然な音色を探せるようになるかもしれません。マウスピースやリードの組み合わせることや、サックスの奏法で倍音をコントロールすることは、EQのつまみを触って調整することに似ています。色々と試してみることが大事ですね。

ただサックス吹くだけの練習じゃなくて、積極的にRecボタンを押して自分の演奏を聴いてみましょう!

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